骨組段階

小説サークル『骨組段階』のブログ。作品情報や設定、小ネタなど更新しています。

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ナオキ+淀染『扇風機に「あーー」』(氷梨) 

コンビでお題に挑戦しよう! 第二弾!

キャラはナオキと淀染。
お題は『扇風機に「あーー」』でした。

基本的には練習物なので、ヤマもオチもないです。
これ書いたあたりからナオキのボケ具合に拍車がかかった気がする。
あと勝の馬鹿具合とか磨きがかかった気がする。


ナオキ+淀染『扇風機に「あーー」』(氷梨)


追記より本文。
***



 テイラー本部にはざっくりとした四季がある。季節の巡りと言ってしまっては失礼なほどに不定期な、いい加減な気候の変動だ。
 基本的には穏やかな気候が続くのだが、たまに雨が降り続いたり、極端に日差しが強くなったり、雪が降り積もったりする。その期間も周期にも規則性がないため、入って間もないメンバーは困惑することが多い。
 テイラーで生まれ、育った淀染にとっては、困惑するに値しない当然の事実であり、じりじりと熱い日差しが続いたとなれば、ああ夏がきたのかと、戸棚にしまってあった扇風機を引っ張り出すだけで済んでしまう。季節がやってきたときに思うことは、驚くことでも感慨に浸ることでもなく、単に『体調を崩した患者が増えるだろう』という仕事量増加に対する懸念であった。
 季節が訪れたら診察にくるようにと、淀染はタツキに何度も釘を刺しているのだが、タツキが自ら医務室に訪れることはない。今日もいつものように、淀染がタツキの仕事場に足を運んだ。当のタツキといえば、約束を忘れたわけではなく、「そういや、最近なんか暑いよなぁ」と、季節が訪れていたことに気がついていないようだった。幸い、体調に異常はないようだったが、体調に支障をきたしてからでは手遅れだと自己管理を怠らないように釘をさし、淀染は医務室に戻った。
 カラカラと扉を開けると、部屋に人影を発見する。いつものように勝が仕事の邪魔をしにきたのかと身構えたが、そこにいたのはナオキだった。稼動したまま、首を振り続ける扇風機の前でぼーっとしている。
「ん? ナオキ、どうかしたか?」
 暑い日が続いている。ナオキも体調を崩したのだろうかと淀染は勘ぐる。が、ぼんやりとした顔はいつも通りで、これといった異常は見られなかった。
「……風邪、かも」
 ブゥゥゥン、と扇風機が回る音に消されそうな声で、ナオキはぽつりという。
「風邪?」
 淀染が聞き返すと、ナオキは頷いた。淀染はナオキの額に手を当ててみるが、熱がある様子もない。
「熱はないな。顔色も良いしな……。喉が痛いのか?」
 ナオキは首を横に振る。「……でも、声がガラガラする」
「ガラガラ?」
「ん。……勝に聞いたら、風邪だって言われた」
 そう答えるナオキの声はいつも通りの声質で、ガラガラなんてしていない。
「私にはいつも通りの声に聞こえるがな……」
 淀染がそういうと、ナオキも不思議そうに首を傾げた。それから、「あ」と何かを思い出したようで、扇風機の前から、さらに傍に近づいた。
「ここだとガラガラする」
 ブゥゥゥン、と稼動する扇風機の真ん前でナオキは言った。今度の声は、扇風機の働きでガラガラして聞こえる。
「………………」
 淀染も風邪を引いたのかもしれない。痛くなってきた頭を押さえ、状況を把握する。
「勝が、風邪だと言ったんだな?」ナオキは頷く。「あの馬鹿……! 一体何がしたいんだ……!」
 勝は、『いつものちょっとした寒い冗談』のつもりだったのかもしれないが、それを冗談と受け取れないのがナオキである。冗談をいう相手くらい選べ! と淀染は心の中で勝のことを滅多刺しにする。
「……風邪、じゃない?」
 淀染が頭を抱えているのを見て、ナオキもようやく気づいたのだろう。きょとんと首を傾げている。
「風邪じゃないな。声がおかしい場合、喉に痛みを感じるはずだからな」
「……勝は風邪だって言ってた」
「あいつはヤブ医者だからな。いつも嘘ばっかり言ってる阿呆な奴だから気にしなくていいぞ」
 淀染の散々な物言いを否定する人物はこの場にいない。ナオキは素直に「ふーん」と頷いた。
「風邪じゃなくても、声がガラガラするのか?」
「今回のこれは、病気の症状じゃなくて現象だからな」淀染は扇風機の首振りをバチンと止める。「コレに声を発したら、声が割れて聞こえる」
「……ほんとだ」
 ナオキは何故か扇風機に羨望の眼差しを向けている。
「声だけじゃなくても、音なら何でも割れて聞こえるがな。……まぁ、こういうことは、私よりタツキの方が詳しいだろうから、気になるなら教えてもらえ」
 ナオキはこくんと頷く。
 その様子を見て、淀染は笑った。随分素直になったものだ、と、本部に連れて来られて間もないナオキを思い出す。
「淀染。これって何ていうんだ?」
「嗚呼、知らなかったのか。扇風機だ」
「センプウキ」
「初めて見るのか?」ナオキは頷く。なるほど、と淀染も頷く。通りで勝の馬鹿な冗談も本気にしてしまうわけだ。「これは風を生み出す機械でな。最近暑いから回してたんだ」
「ふぅん」
「お前の部屋にはないのか?」
「無い」
「じゃあ最近暑いだろう? 誰かに頼んで、お前の部屋にも用意させよう」
 ナオキはこくんと頷いた。余程扇風機が気に入ったのか、心なしか嬉しそうだった。
 それから、しばらく、ナオキは扇風機の前でじっとしてた。涼んでいるというよりは、扇風機を凝視している。目が回らないのだろうかと、淀染が心配になっていると、ナオキはポツリと、
「……試してみても、いいか?」
 うずうずとした様子で言った。淀染は笑う。
「お好きにどうぞ」
 ナオキは嬉しそうに頷いて、声を発する。
「あーーーーー」
 声が震えるのが楽しいのか、ナオキは何度も扇風機に向かって声を発し続けた。
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category: ◆小説(文字系ネタ)

2011/08/07 Sun. 17:33 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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