骨組段階

小説サークル『骨組段階』のブログ。作品情報や設定、小ネタなど更新しています。

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ファイ+ソサカ『力の抜けた座り方』【後編】(氷梨) 

コンビでお題に挑戦しよう! 第三弾!
……三弾? 三弾のその二? とにかく後半!
ちなみに前半はこちら!

キャラはファイとソサカ。
お題は『力の抜けた座り方』でした。

相変わらずの練習物。
前編後編に分かれていますが、ストーリー性があるとかではなく、無駄に長いだけですよ。

※若干女性向けな雰囲気ですので、苦手な方はご注意ください※

ちなみに、ソサカをはじめとする三姉弟がテイラーに来て間もないころ、をイメージして書いてました。ソサカはまだちっちゃいはず。
ちなみにいうと、ヒギリやタツキとハウンドの双子やこももは同世代になります。今のところ。(ぉぃ)


追記より本文。







********************



 後日。
 食堂で見つけたくない姿をソサカは見つけてしまう。
 いつものように席を片付けていると、派手な金髪の青年がいた。椅子に腰掛ける――というよりは全体重を預けて、ほとんどずり落ちるような体勢で座っている。今にもバランスを崩して倒れるのではないかと心配になる座り方だ。
 後姿だけでもファイだとわかったが、念のため遠目から確認をしてみた。ヘアスタイルが微妙に違っていたが、あの顔は忘れたくても忘れられない、ファイのものだった。
 早く帰らないだろうかと、彼の視界に入らないように念を送り続けているその相手が、ファイの双子の弟だということをソサカは知らない。気の利かないこももが、ファイが双子であるという重要な情報を伝えるはずがないのだ。
(いつになったら帰るんだろう……)
 毎度毎度念を送り続けるだけしか出来ないのは問題のような気がしたし、それで彼が帰るわけでもない。もやもやと不安を抱きながら、ニトロから視線を外さずにいたソサカは、不意に背後から何者かに捕獲される。
「つっかまえたーん♪」
「?!」
 ねっとりとした声に全身が硬直する。その独特な声に振り返るまでもなく、自分を抱きしめているのがファイであるとソサカは認識する。
「な、な、ファイさん?!」
「覚えててくれたんだね、ソサカくん? うっふふ、嬉しいなぁ」もう離さないよぉ、と一段と強く抱きしめられる。
「え、え、じゃ、じゃああれは……?」
 震える声で呟くと、座っていたニトロが振り返った。「あ、上手くいったんだー。ってかさ、アニキが立てた作戦が成功するって珍しくない?」
「うふふふ、ぼくはヤるときはヤる子なんだよ?」
「アニキ……?」と、そこでソサカは理解する。「双子?」
「そうだよぉ、双子だよぉ」耳元で喋られて、ソサカは身震いする。「ソサカくんったら、ニトロにあつーい視線を送っちゃってさぁ。嫉妬しちゃうなぁ、ぼく」
「まぁ、向けられてたのは熱い視線っていうより、ドス黒い怨念って感じだったけどね~」あはは、と笑ってニトロはいう。「じゃ、借りはコレで返済ってことで! ぼくは仕事もあるし、先に帰ってるね~」
 ニトロは囮だけのために食堂にいたようで、役目を終えた途端にそそくさと帰っていく。ファイと同じ顔だったが、中身はまともそうだっただけに、ソサカは彼を引き止めたかったのだが声が出ない。「はいはーい」と、見送るファイに拘束されたままで、それを振りほどこうにもファイの腕はビクともしない。
「んっふふふ。鍛え方が足りないよぉ?」
「は、離してくれませんか……?」
「えー、なんでー?」
「何でって……」理由があれば離してくれるのかと、ソサカは必死に答えを探した。が、見つからない。「……とにかく、離してください!」
「ツれないなぁ」
 低い声でファイは呟いて、べろり、とソサカの首筋を舐めた。ぞぞぞ、と背筋を悪寒が走る。血の気が引いて、悲鳴すら出ない。頭は完全に真っ白だ。
 そんなとき、ソサカは聞き慣れた声を耳にする。
「……なぁ、タツキ」
 姉のヒギリのいつになく低い声だ。
「……ソサカってさ、そっちの趣味だったのか?」
「……や、そんなはずはないぞ?」
 答えるのはぼんやりとした兄・タツキの声だ。
 ソサカは二人の顔を見て安堵する。状況を説明しようとしたが声が出ない。そこにファイが、
「いやいや、そういう趣味に目覚めましてぇ~」
 とあらぬことを吹き込んだ。
 ソサカは否定しようとしたが声が出ない。助けを求めることも出来ず、ただ首をブンブンと左右に振るだけだ。
「うん」
 ヒギリはそう呟いて、タツキの方を見る。タツキはそれを見て頷く。何を納得しているんだとソサカは泣きたくなる。
「やるぞ」
 タツキの一言でヒギリが駆け出す。弾丸のような速さでファイの顔面に拳を炸裂。ソサカを拘束していた腕がほどける。ヒギリはそのまま、ファイからソサカを引き剥がし、空いたファイの腹部に強烈な蹴りをお見舞いする。
 吹き飛んだファイは机や椅子にぶつかって、転倒する。ファイは悲鳴を上げていたが、ソサカには彼の無事を案じる余裕はない。
「ソサカ、大丈夫か?」
 ぎゅーと抱きしめられながら、ヒギリが不安そうに言った。ソサカは頷いて答える。
「痛いなぁ、もぅ。いきなり顔面って、ヒギリちゃん激しすぎない……?」
 ファイのおちゃらけに二人は微塵も反応しない。
「よし、タツキ。やってしまえ!」
「りょーかい」
 ブン、と、両手を振りかざすタツキ。いつの間にか魔方陣の構築を終了させている。
「ヒギリが許しても、オレが許さないぞこの野郎ッ!」
 魔方陣が展開する。辺り一面、眩い閃光に包まる。ドン、と低い音がして、椅子や机が吹き飛んだ。
「おい、タツキ! どうしてあたしが許すんだよ! 許すわけないだろ!」
「ったりめーだろ! 許してたらオレがキレるっての!」
 ギャアギャアと口喧嘩を始める二人だったが、ソサカの心境はそれどころではない。
「に、兄さん……いくら何でもやりすぎじゃ……?」
 机や椅子が消し飛んでいるということは、ファイも同じように消し飛んでいるということだ。
「別に大丈夫だって。あいつもルチル持ってるから、そこそこ耐性上がってるし」
 ほら、とタツキが指をさした先に、ファイが倒れている。が、今までのように起き上がってくる気配はない。
「あー、流石にやりすぎたかなぁ」
「いきなり顔面パンチだもんなぁ」
「ダメージのデカさはあたしよりもタツキだろ?」
「それだけ頭にきてたんだよ」
「なるほど」ヒギリは頷いてファイに近づく。「じゃあ、あたしももう二、三発やっとこうかな」
「も、もう止めてあげてください!」
 ぴくりともしないファイにこれ以上ダメージを与えたら、それこそ二度と起きない気がして、ソサカは思わずヒギリを止めてしまう。
「ソサカは優しいなぁ」にっこりと笑って、ヒギリはいう。「安心しろよ。別にこれ以上どうこうしようってわけじゃないぞ。一応心配だから、ちょっと勝兄のとこに運んでくる」
「頼んだ」
「頼まれたー!」
 ぐったりとしたまま動かないファイを、ヒギリはひょいと持ち上げて、パタパタとその場を後にする。
「姉さん大丈夫でしょうか……?」
「んー? 平気だろ。タヌキ寝入りってわけでもなさそうだったし、そうだったとしても、ヒギリの二、三発喰らって伸びるだけだろうし」
 そう言いながら、タツキはぽんぽんとソサカの頭を撫でた。「で、お前は大丈夫か? 怪我はないよな? まだ何もされてないんだよな?」ソサカは頷く。「よし。……また何かされそうになったら、ちゃんと呼べよ? オレもなるべくココに来るようにするからさ」
「はい」
 ソサカはそう笑いながら、ヒギリとタツキも双子だったことを思い出す。同じ双子でも全然違うなぁと思うし、多くを語らなくても理解出来るのは羨ましいなと思った。
 それから、せめて自分の身は自分で守れるようにしようと心に固く誓った。

 ちなみに。
 流石のファイも、勝が医務室に戻ってくるまでの間、目が覚める度にヒギリに全力で殴られ続けたのがこたえたらしく、ソサカの猛特訓も空しく、ファイが猛烈なアタックをソサカにすることはなくなった。





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category: ◆小説(文字系ネタ)

2011/12/03 Sat. 15:22 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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