骨組段階

小説サークル『骨組段階』のブログ。作品情報や設定、小ネタなど更新しています。

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 動いたらお腹が空いた、とナオキが言いだすよりも早く、僕は彼に話題を振ることにした。出来れば今すぐにでも、タツキさんかヒギリさんのどちらかが顔を出せば万事解決なのだが(何だかんだでナオキは二人の言うことはしっかり聞くのだ)、僕の祈りだけでは大した効果は得られないだろう。自分の力で最悪の結果を防がなければならない。
 ナオキの空腹を紛らわすべく、僕は彼に質問する。ご存知の通り、キングオブ1123は誰だと思うか、という質問である。
「…………兄?」
 そう呟いたナオキは、じーっと固まったまま動かない。どうやら考え込んでいるようなのだが、はたから見れば目を開けたまま寝ていますと言われても納得してしまうような姿でどうも落ち着かない。そのまま首ががくんと傾くのではないかとひやひやしてしまう。
「……特には」
 いないと、
 ナオキはいかにも彼らしい返答をする。
「お兄さんだったら嬉しい人、いないんです?」
 アカリちゃんの質問に、ナオキはこくりと頷いた。
 該当なし、という回答も有効なのだろうが、それでは話題が終わってしまう。実はこういう経緯で聞いて回っているんだよ、と事情を説明したとしても、ナオキが相手では大した時間稼ぎにはならない。「ふぅん」とか「へぇ」で会話終了。ケーキ争奪戦再開のお知らせである。
「もう少ししっかり考えてみてよ!」
 思わず食い下がる僕に、ナオキは首を傾げながらまた固まる。どうやらもう一度考えてくれたようなのだが、出てきた言葉は先程と同じ「……特には」だった。
「なんか意外だなぁ……」
 ぽつりとアカリちゃんが呟いた。
「ナオキさんって、タツキさんと仲が良いから、タツキさんを指名するかと思ってました」
「……タツキ?」
「それか、ソサカくんとか」
「…………んー」
 三度、ナオキの動きが止まる。
「でも、二人とも兄じゃないし」
「もしもの話だよ、もしもの。実際にタツキさんがナオキのお兄さんだったら、それはもう大層なスキャンダルじゃないか」
 可能性はゼロではないにしろ、その可能性は限りなくゼロに近い。
「……よく分からない」
 珍しく顔をしかめながら、ナオキはそう答えた。あまりにもしつこいので気分を悪くさせたのだろうか、とひやりとする。
 けれどもナオキはそれほど怒っていないようだ。珍しく、彼の方から話題を振ってくる。
「二人は?」
「え?」
「二人は、誰が理想?」
 その質問に僕は思わず固まってしまう。
 すぐに答えたのはアカリちゃんの方だった。「私はねー、ソサカくんだなぁ。優しいし、美味しい料理いっぱい作ってくれるし」と顔をほころばせながら答えていく。そのまま僕らがここにきた経緯も説明してくれたので、僕は思案することに専念できた。
 ……出来たのだが。
「セージは?」
 ナオキに聞かれて、僕は口ごもる。
「そういえば、セージくんの意見ってまだ聞いてなかったね」
「あー、うん……、そうなんだけど、そもそも僕の意見って有効なのかな?」
「あ、そっか。セージくんは調査員ってことになってるんだもんね」
 僕の言い訳に納得したのか、アカリちゃんは頷いている。
「それにしても、今の所みんなバラバラだよね。個人差があるとはいえ、誰一人として被ってないのは、ちょっと意外かな」
 メモを確認しながら僕は言う。現時点では、ソサカ君、タツキさん、加護さん、僕、の四人にそれぞれ一票ずつ。加えて該当なしが一票。
「中間発表ってやつだね!」
 きらきらと目を輝かせるアカリちゃんを見ると、ますますその意見は口に出来なくなる。
 該当なし。
 現時点での僕の意見は、ナオキと同じそれなのだ。
 この意見が無効であることを祈りながら、僕はそっとメモを閉じた。



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category: ◆小説(文字系ネタ)

2013/02/24 Sun. 01:11 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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