骨組段階

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ジェレ加護小ネタ梅雨(雪巳) 

頂きものばっかりになりそうなので何か何か何か書こう!!ということで、タイトルの通りでございます。
ただ、梅雨要素があるかどうかと言われると微妙!今は文章の練習あるのみ!
ということで追記からどうぞ。


 ふと外の音が変わったのを感じて、おや、と顔を上げた。筆を走らせていた報告書を置いて、窓から外を窺う。雨が降っていた。地面の濡れ具合を見ると随分前から降っていたようだ。集中していて気が付かなかった。
「梅雨、か」
 ため息交じりに小さく肩を落とした。別に雨が嫌いなわけではないが、何となく気だるさみたいなものが身体にまとわりつくようだった。座布団に座り直すと、むっとした蒸し暑さを感じた。
 確かこの部屋のどこかに団扇があったはずだ。今は少しでも涼しくなりたい。もう一度のそりと腰を上げ、ぐーっと伸びをしてから、部屋の奥にある襖を開いた。
 押し入れの中はごちゃごちゃと物が散乱していて、ひどい有様だった。かろうじて着物類や紙類だけがまとめて置いてあり、他はもうめちゃくちゃだった。一体いつ、何を思ってこの中に押し込んだのか。ああ、そういえば前に部屋を広く改造するとかで上司に急かされてまとめて突っ込んだような、気が、する。
「そんなに、物持ちではないと思っていたんだがなぁ」
 誰もいない空間にぽつりと呟く。
 とにかく、団扇を探さなければ。片付けはまた晴れた日にすれば良い。一番手前に仕舞われている達磨ストーブに手をかけた時だった。
「ナァニシてるの、加護チャン?」
 小さく丸めた背中に、冷たく柔らかいものが絡まってきた。青白い手が首に回ってくる。さっきまでの蒸し暑さが、さぁーっと逃げていった。
「ジェレイラ」
「まだ梅雨が始まったばかりだって言うのに、可笑しくなっちゃったノ? ココ」
 トントン、と指で額の横をつつかれる。その先端は凶器のように鋭く磨かれていて、今日は小さな真珠のような装飾がされていた。
「どうしたんだ、その、爪」
「アラ、珍しいじゃナイ。こういうのがスキなの?」
「いや、初めて見たから」
「フフ。ネイルアートっていうの。カワイイデショ」
「そうか」
 彼女の言うカワイイはいつだってよくわからないが、変わったものだな、と思った。どうやってあんな小さい真珠をくっつけているのだろうか。きっと慎重で細やかな仕事に違いない。それにかかる手間は相当なものだろう。やはりよくわからない代物だと改めて思う。いつか伸びて切ってしまうだけの爪に、どうして装飾なんて施すのか。
 けれど。
 確かに、綺麗なものだと感じずにはいられなかった。それに飾られ、こうして見せびらかしにくる彼女も。
「団扇を、探していたんだ」
「ウチワ? ソレより扇風機がソコにあるじゃナイ」
「何処だ?」
「ソコの奥」
 彼女は背中越しに白い腕を伸ばし、丸い機械を指さした。
「嗚呼、これか。ありがとう」
 そもそも扇風機というものを忘れていた。電気さえ通せば勝手に風を送ってくれて、首まで振ってくれる便利な機器。
 扇風機を出してから達磨ストーブを元に戻し、押し入れを閉めた。
 振り返ろうとした瞬間、嘘のように足が滑った。畳の上に無様に倒れる。頭をしたたかに打った。裸足の足裏が、まるで氷にでも触れたようにキンと冷えていた。
「ネェ」
 痛みでちかちかする視界に、ジェレイラの見下ろす顔がうつる。気付けば全身が冷たい。
 彼女が、腹の上に乗っている。
「何でウチワなんて探してたの」
「は……?」
 咎めるような、鋭い口調で問われる。何か悪いことをしたような気になってしまうが、残念ながら思い当たる節がない。正直に答える。
「蒸し暑かったから、あおごうと思ったんだ」
「フゥン」
 問い詰めた割には、興味のなさそうな返答だった。呼吸に合わせて上下する胸元に顔をうずめながら、彼女は猫のように頬ずりをする。押し退けることは容易だったが、いつだかに酷く罵倒され、さんざんその爪で引っ掻かれたので、そのまま、されるがままになっていた。これだけ冷えていると、団扇も扇風機も必要なくなったな、とぼんやりとした頭で考える。
 上司と部下という関係にしては、密過ぎるのではないかと、いつも思う。例え彼女が人間の体温を欲していたとしても、ここまで接触する必要はないはずだった。だからいつも線引きを強調する。まるで何かの決まり事のように、上司と部下であることを、恋人ではないのだということを口にする。
 欲情こそしていなくとも、彼女といることが心地よいものだと感じてしまっているのには気が付いていた。逆らえない「上司命令」に付けこんで、女に甘えている駄目な男だろうか。自分でもよくわからない。いつか、何となくわかる時が来るだろう、と未来の自分に放り投げた。
「……雨のニオイがスる」
「降ってるからなぁ」
「チガウ。加護チャンから」
「俺?」
 濡れた覚えは全くないのに。さっきから彼女の言わんとすることがまるでわからない。ただ、体温だけが奪われていく。
「それは、俺が雨男だという意味か?」
「ソウいうワケじゃないケド」
 今度は何が可笑しいのか、くすくすと笑いだす。
「加護チャンって、ホント面白い」
「そうか」
「ネェ」
 笑いながら、ぐいっと襟首に縋り付く。耳元に唇を寄せて、二人きりだというのに内緒話をするように囁かれた。
「明日も雨なら、デートに行きマショウ?」
「雨なのにか?」
「雨だからヨ」
「……君の言うことが、時々わからない」
「イイのよ、ソレで」
 雨の音と、彼女の嬉しそうに弾む声が重なる。
 ねいるあーとの施された指先で、ゆっくりと、唇をなぞられた。

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category: ◆小説(文字系ネタ)

2015/06/08 Mon. 20:38 [edit]   TB: 0 | CM: 4

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# |  | 2015/06/08 Mon. 22:42 * edit *

ヘビの気持ちがわかるカエル、という表現に吹きました。た、確かに…言い得て妙ですね。
雨模様!なるほど、そうか、そうすれば良かった…!テーマを濃くだすのってなかなか難しいですね。書きながら「梅雨がない!」と何度嘆いたことか…
「まぁ良いか」の精神で生きてるようにも見えますが、彼なりに色々と考えているようです。男女の意識の差は永遠のテーマですねぇ…
ジェレ猫、きっと彼の視点だから猫に留まっているだけで、実際はもっとヒョウとか獰猛な…おや、誰か来たようだ(死)

雪巳 #SFo5/nok | URL | 2015/06/09 Tue. 07:20 * edit *

キタ。・:+°・:*+.(( °ω° ))/.:+。・:+°!!!!

ジェレ加護きたー!!!
そしてさすが横文字苦手wwwねいるあーと!!
姐さんのネイル私もみたーい・:*+.\(( °ω° ))/.:+そしてそれを施したのは、例のあの方ですかね?!と妄想。
きっとこのままいくとどこまでもイチャつくんだろうなぁ…(笑)こう、なんていうか、こっちが恥ずかしくなりそうな…(笑)
ジェレ加護おいしいですもぐもぐ。

うさけんぴ #- | URL | 2015/06/09 Tue. 14:36 * edit *

>うさたん
美味しく頂いて頂けて良かったですm(_ _)m
加護ちゃんは無自覚だけどほんと恥ずかしくなるくらいイチャつくだろうねぇ…無自覚って怖いわ〜(((´°ω°`)))

雪巳 #SFo5/nok | URL | 2015/07/09 Thu. 16:03 * edit *

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